情報処理技術者試験(PM/SM)に連続で一発合格したおじさんによる ITサービスマネージャ試験 午後Ⅱの過去問論文事例(平成24年度問2)

情報処理技術者試験
こんな人におすすめ
  • 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
  • 小論文のネタを探している
  • 合格者のアドバイスを受けたい

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅱの対策として、自分が実際に練習用に作成した小論文を紹介します。小論文のネタ探しや午後Ⅱ対策の参考にしてもらえるとうれしいです。

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問題文および設問

解答例

設問ア

1.ITサービス概要とサービス復旧のための対策

1.1.ITサービスの概要

 私が携わったのは、ISP事業者A社のヘルプデスクの運用管理である。

 関東を中心に10万人以上の会員を持つA社は、インターネットにて会員の登録・更新を24時間365日受け付けている。また郵送申込も受け付けており、A社に設置した事務処理センターにて平日9時から18時までの間処理を行っている。

 A社の東京本社には、事務処理センターが利用する顧客管理システムを含めた、A社の全システムに関する問い合わせ対応を行うヘルプデスクを設置している。ヘルプデスクには20名の要員が在籍しており、電話・電子メールによる問い合わせ業務を行っている。

 私はA社の全システムを管理するシステム管理部に所属しており、このヘルプデスクの管理を担当している。

1.2.ITサービスの特徴

 ヘルプデスクの運用を継続するためには、一定の要員が出社していなければならない。したがって、大規模災害などの不測の事態に要員が出社できない場合は、ヘルプデスクのサービスの開始・継続ができなくなる。

1.3.ITサービス復旧のための対策

 不測の事態に備えたヘルプデスクの復旧に向けた対策として、業務復旧計画(以下BCPと呼称する)を立案している。具体的には、次のような計画を立案している。

1)関東で震度5強以上の地震が発生した場合に、次の計画を実行する。

2)ヘルプデスクの各要員は、下記の内容をヘルプデスクの責任者である私に、安否や出社予定時刻などの情報を携帯メールにて報告する。

3)私は、各ヘルプデスク要員からの報告をもとに、システム管理部長に、復旧見込みなどの報告する。

(701文字)

設問イ

2.BCPを確実に機能させるための活動

 BCPを確実に機能させるための重要な要素は、下記の2点である。

1)ヘルプデスク要員の防災意識を高める

 ヘルプデスク要員の安全がヘルプデスクの復旧には欠かせない。大規模災害の発生時、各自が自らの身を守る行動ができることはもちろん、被災後の生活のための準備をしておく必要がある。

2)各種の連絡が正確かつ迅速に行われる

 ヘルプデスク要員からヘルプデスク責任者への報告、および、ヘルプデスク責任者からシステム管理部長への報告が迅速に行われないと、各タイミングでの判断に遅れが生じ、ヘルプデスクの復旧に遅れが出る。報告内容が不正確であっても、ヘルプデスクの復旧に支障が出る。

 上記2点の対策として、次の活動を行っている。

2.1.定期的な研修の実施

 ヘルプデスク要員の防災意識を高めるために、毎年の防災週間に防災に関するWEB研修を行っている。例えば、首都直下型地震が発生した場合に、自宅や通勤路がどのような状態になるのか、防災・減災のために必要な対策としてどのような準備が必要か、といった研修を行っている。

 防災意識を高めるために、工夫している点は、次の2点である。

1)WEB研修の最後に理解度テストを実施

 座学による研修と異なり、WEB研修では受講者の理解度を対面で把握することができない。研修の最後に実施する理解度テストに合格してから、研修を完了できるようにすることで、理解度の向上をはかっている。

2)研修受講後に職場懇談会を実施

 ヘルプデスク要員の全員のWEB研修受講後、会議室で懇談会を行うことにしている。具体的には、研修を通じて感じたことや、今後行いたい災害対策を発表してもらうようにしている。職場懇談会を実施する狙いは、防災意識をより高めることはもちろん、他の要員の発表から、新たな気づきを得ることである。

2.2.定期的な訓練の実施

 毎年5月、11月にBCPの訓練を行っている。具体的には、首都直下型地震が発生したことを想定して、ヘルプデスク要員の報告からシステム管理部長への報告までの手続きを実際に行うことで、BCPの内容を各自が確認するようにしている。

 A社の定期人事異動は4月、10月に行っている。体制変更によって情報伝達が混乱しやすいため、あえて混乱が起こりやすい5月、11月に訓練の時期に設定した。

 訓練において工夫している点は、より具体的な被災状況を設定している点である。「被災時に誰が出社しているのか」「誰が負傷しているのか」「天井の崩落など、職場の被災状況はどのようになっているのか」といったシナリオを設定したうえで、訓練を行っている。シナリオを具体的に設定することで、訓練が形骸化することを防ぎ、各自が各シナリオにおける最適な行動は何かを考えさせるのが目的である。

(1162文字)

設問ウ

3.BCPの大幅な見直し

3.1.BCPの見直しが必要になった問題

 2011年に発生した東日本大震災によって、BCPの大幅な見直しが必要になる、次の2つの問題が明らかになった。

1)携帯メール遅延による連絡の遅れ

 東日本大震災時は携帯メールを含む電子メールが大幅に遅延した。BCPでは、各報告は携帯メールで行うことにしているため、夜間に東日本大震災と同程度の地震が発生した場合、ヘルプデスク要員の安否確認や報告が大幅に遅れる。その結果、サービス復旧も大幅に遅れる可能性がある。

2)想定以上の出勤困難者

 東日本大震災発生直後、東京の交通機関は運行停止や大幅な遅れなどが生じた。夜間に東日本大震災と同程度の地震が発生した場合、首都圏に住むヘルプデスク要員のほとんどが出社できないことになる。

3.2.BCPの見直し内容

 以上の問題を解決するため、BCPを次のように見直すことにした。

1)SNSを使用した報告

 東日本大震災では、SNSでの情報共有は電話や電子メールと比較的して安定していた。そこで、ヘルプデスク要員からの報告やシステム管理部長への報告は、社内SNSで行うように変更する。

2)リモートワーク環境の整備

 在宅での業務継続を想定して、リモートワーク用のパソコンをヘルプデスクに支給する。

3.3.BCP見直しの優先順位

 BCP見直しにおいて、「1)SNSを利用した報告」を、最優先に取り組む対策として設定した。

 優先順位の設定理由は、次の2点である。

①リモートワーク環境を整備していても、安否確認などの情報共有ができていないと、正常なサービス復旧ができない。

②リモートワーク環境を整備するためには、設備投資の予算と導入のための期間が必要になる。

 社内SNS導入においては、リモートワーク環境導入同様、設備投資の予算と導入期間が必要になる。そこで、社内SNS導入するまでの間は、社外のSNSを暫定的に利用することにした。

(807文字)

まとめ

自分自身の論文のネタにするためには、サンプル論文はいくらあってもよいと思います。
このブログに記載したサンプル論文が役に立つとうれしいです。

参考図書

自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、回答文章のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。

上記はプロジェクトマネージャ試験の対策本ですが、ITサービスマネージャ試験でも通用する内容です。

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