情報処理技術者試験(PM/SM)に1年で一発合格したおじさんによる 午後Ⅱのコツ

情報処理技術者試験
こんな人におすすめ
  • 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
  • 合格者のアドバイスを受けたい

プロジェクトマネージャ試験とITサービスマネージャ試験の午後Ⅱは、小論文形式で回答することになります。

じっくり時間をかければ、いくらでも良い論文が書けると思いますが、2時間という限られた試験時間では、効率よく記述する必要があります。

この記事では、午後Ⅱでやってはいけないこと、やるべきことを説明します。

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やってはいけないこと

あらかじめ用意した論文をそのまま書かない

実際に書いてみるとわかりますが、2時間以内に2,000文字~3,000文字を書くのはかなり大変です。
何も考えずにただひたすら書くだけでも、かなりの時間を要します。

だからと言って、あらかじめ作成した論文をそのまま解答に使ってはいけません。

「そんなの当たり前じゃん!」と思う人もいるかと思いますが、試験会場で自分の前に座っていた人が、ずっと小声で事前に作成した論文を復唱していました。
当然ながら合格発表には、自分の前の番号はありませんでした。

試験が始まってから自分の経験を振り返らない

ただひたすら書くだけでも時間がかかるので、試験時間中に自分の経験をゆっくり振り返っている時間はありません。振り返るのは受験前の試験対策のときに行いましょう。

いきなり書き始めない

解答を書く時間をなるべく取ろうとして、「とりあえず書き始めよう」「書きながら考えよう」と思いがちです。自分自身が試験対策の最初の頃はそうでした。

考えながら作成した解答は冗長な文章になり、後半の設問の解答をする時間が無くなります。

「走りながら考える」という言葉がありますが、午後Ⅱの解答方法には当てはまりません。

自分の経験「だけ」で解答しようとしない

問題文には「あなたがどのような立場で携わったか」「あなたの経験と考えに基づいて」と書かれています。

そのため、論文に記載する内容は「自分が実際に経験したこと事実に基づかなければならない」と考えているかもしれませんが、そうではありません。

論文を採点する人は、受験者の業務経歴を調査するわけではないので、論文に記載する内容は事実である必要はありません。

やるべきこと

やるべきことに挙げているものの多くは、「試験時間中に考えることをなるべく減らす」対策です。

ひたすら書くだけでも時間がかかるのであれば、ひたすら書く時間をできるだけ多くとる必要があります。

設問全体で1つの小論文として作成する

問題は複数の設問で構成されていますが、どの問題も、「設問アで述べたプロジェクトにおける~」とか「設問イで述べた品質確保の~」といったように、設問が連続しています。

設問ごとにバラバラに解答するより、ひとつの小論文にした方が効率的です。

体裁も小論文として作成する

小論文なので、以下のように章番号とタイトルを付けて論文の構造がわかるように記載しましょう。各設問にどこまでの各章番号の論文を記載するかは、設問の内容によって変わります。

章番号の例

1.プロジェクトの特徴
1.1.プロジェクトの特徴
1.2.コスト構造および特徴
2.コスト見積・予算作成


また、タイトルの後ろに続けて本文を書くのではなく、タイトルの次の行から書き始めるようにしましょう。採点するのは人間なので、読みやすさは大事です。

よい例

1.プロジェクトの特徴
1.1.プロジェクトの特徴
 私は、情報システム…

ダメな例

1.プロジェクトの特徴 1.1.プロジェクトの特徴 私は、情報システム…

改行が入ることで、空白が多くなりますが、あまり心配しなくても問題ないです。
設問で指定されている文字数の、上限近くまで文字を埋めることを意識しておくと、空白を除外しても下限未満になることはほぼないです。

タイトルは設問から取る

いくら小論文の内容が素晴らしくても、設問の回答になっていなければ意味がありません。
以下のように小論文のタイトルを各設問から取ることで、論文の骨子を設問に沿ったものにすることができます。

タイトル

1.プロジェクトとコスト構成の特徴
1.1.プロジェクトの特徴
1.2.コスト構成とその特徴

2.コスト見積りと予算作成
2.1.コスト見積りの方法
2.2.見積り精度を高めるための工夫
2.3.予算作成における考慮事項

3.コスト差異の把握と予算超過の対策
3.1.コスト差異を把握する仕組み
3.2.予算超過を防ぐための対策

解答に困ったら問題文から取る

問題文をよく読むと、「例えば~」という記載がされている箇所があります。
一方、設問を見ると、その「例えば~」と書いてある内容がそのまま解答として利用できます。
解答に困ったら「例えば~」の部分を利用し、具体的な内容を肉付けすれば解答になります。

解答例

2.1.コスト見積りの方法
プロジェクトのコストは、開発要員・開発環境などの構成要素ごとに見積もりを行った。例えば、開発要員については・・・・・

2.2.見積り精度を高めるための工夫
コスト見積りの精度を高めるため、下記の工夫を行った。
(1)過去の類似プロジェクトから類推
・・・・・
(2)プロジェクトの特徴を踏まえた生産性の基準値を補正
・・・・・


2.3.予算作成における考慮事項
予算作成においては、プロジェクトのリスクを考慮して予備費を設定することにした。具体的には・・・・

プロジェクト概要、ITサービス概要は事前に準備しておく

設問アには必ず、「あなたが携わったプロジェクトの概要と特徴」「あなたが携わったITサービスの概要と特徴」の解答を求められますので、事前に準備しておきましょう。

例えば、プロジェクトマネージャ試験用に自分が作成した、プロジェクト概要は次の通りです。

=============================================================
プロジェクト概要
=============================================================
1.題材
法人顧客向けプロモーションメール配信管理システム構築
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2.体制
・関連組織
 客先A社:
 法人営業事業部 企画部3名
         第一~第三営業部(ユーザ部門、計30人程度)
 情報システム部 5名(連携する既存システム担当)
 当社:
 開発部門15名
・チーム編成
 プロジェクトオフィス…A社企画部と私
 ユーザーインターフェース、配信管理、メール配信バッチ
 の3チーム
------------------------------------------------------------
3.期間
システム要件定義から本番稼動まで3ヶ月
------------------------------------------------------------
4.規模
40人月
プログラム規模:約30万KL
------------------------------------------------------------
5.背景、経緯、目的
営業活動の品質向上とコスト削減
------------------------------------------------------------
6.特徴
短期間
低コスト
A社独自の開発言語
既存システムからの転用
------------------------------------------------------------

解答時は上記で作成したプロジェクトから、問題のテーマに合った部分を抜き出せばよいです。

テーマが「コストマネジメント」の場合

プロジェクトの特徴は、短納期・低予算のプロジェクトである、ということである。
システムのセキュリティ不備に対する対応のため、迅速に対処する必要があった。しかし、最終四半期中に見つかった問題であるため、予算は潤沢ではなかった。

問題のテーマが「コミュニケーション」の場合

プロジェクトの特徴は、ステークホルダーの多くがそれぞれ遠隔地にいる、ということであった。
A社は本社機能が移転したばかりで、情報システム部門は地方に移転したが、法人営業部は元の本社ビルがあった東京に残っていた。
当社は東京を拠点であるため、法人営業部との会議はフェイストゥフェイスで行うことができたが、情報システム部門との会議は地方への出張もしくはリモート会議を実施する必要があった。

社会情勢を意識しておく

平成24年のITサービスマネージャ試験、午後Ⅱの問2はBCP(事業継続計画)をテーマにしています。

私がITサービスマネージャ試験を受験したのは、東日本大震災後の最初に実施されたこの試験ですが、社会的関心事が問題に使用される可能性が高い、と私は考えています。

論文対策をするにあたって、世間で大きく話題になったニュースと関連付けるとよいです。

この記事を執筆している時点では確認できていませんが、新型コロナウイルスに関連して、リモートワークによるコミュニケーションや、感染対策を行いながらのITサービスの提供をテーマにした問題が出題されるかもしれません。

最低1回は手書きで書く

普段パソコンで文書作成している人にとって、2時間以内に手書きで2,000~3,000文字書くのは、相当な重労働です。

自分がどの程度のペースで書けるのか、最低でも1回は手書きして確認しておきましょう。

可能であれば4~5回は手書きのトレーニングをしましょう。

まとめ

以上をまとめると、やってはいけないこと、やるべきことは以下の通りです。

  • あらかじめ用意した論文をそのまま書かない
  • 試験が始まってから自分の経験を振り返らない
  • いきなり書き始めない
  • 自分の経験「だけ」で解答しようとしない
  • 設問全体で1つの小論文として作成する
  • 体裁も小論文として作成する
  • タイトルは設問から取る
  • 解答に困ったら問題文から取る
  • プロジェクト概要、ITサービス概要は事前に準備しておく
  • 最低1回は手書きで書く

本ブログの記事が、小論文対策の役に立つとうれしいです。

参考図書

自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、解答のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。

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