情報処理技術者試験(PM/SM)に連続で一発合格したおじさんによる プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱの過去問論文事例(平成24年度問3)

情報処理技術者試験
こんな人におすすめ
  • 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
  • 小論文のネタを探している
  • 合格者のアドバイスを受けたい

プロジェクトマネージャ試験の午後Ⅱの対策として、自分が実際に練習用に作成した小論文を紹介します。小論文のネタ探しや午後Ⅱ対策の参考にしてもらえるとうれしいです。

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問題文および設問

解答例

設問ア

1.プロジェクト概要

1.1.プロジェクト概要

 私が担当したプロジェクトは、法人顧客向けの広告メール配信管理システム(以下、メールシステムと呼称)の構築である。
私はプロジェクトマネージャとして参加した。

 企業向けにクラウドサービスを提供しているA社は、既存の顧客に対する深耕を目的とした、既存顧客への広告メールの配信を行っている。

 今回A社では、既存顧客深耕による売上向上施策として、この広告メール配信業務をシステム化して、メール配信を効率化と、配信後の顧客からリアクション情報の有効活用をすることにした。

 プロジェクトの目標は、来年度の4月までに本番リリースすることだった。
開発予算は今期分の予算として計画されており、プロジェクトが来期にずれ込むと、来期の全社予算の策定に影響がでる。

1.2.プロジェクトの特徴

 プロジェクトの特徴は、メールシステムを利用する部門が複数部門に分かれていたことである。

 A社には、大企業向けの営業部門である第一営業部と、中小企業向けの営業部門である第二営業部がある。
それぞれの営業部門では、1回の配信の対象になる企業数や1カ月当たりの配信回数などが異なっていた。
そのため、メールシステムへの要求事項がそれぞれ異なることが予想された。

1.3.利害調整が必要になった問題とその関係者

 メールシステムでは、配信対象となる企業の絞り込みを行う必要があるが、第一営業部と第二営業部で検索条件に指定するパラメータに対する要求事項が異なっており、利害調整が必要になった。

(665文字)

設問イ

2.利害調整による問題解決

2.1.関係者それぞれの利害

 検索条件に指定するパラメータに対する、第一営業部、第二営業部それぞれの要求事項は次の通りであった。

1)第一営業部・・・検索条件は少なくて良い。

 大企業を担当する第一営業部では、顧客企業の規模が大きい反面、企業数自体は少ない。
現在、営業担当者が広告メールを配信するにあたって、個々の企業の状況を踏まえたうえで広告メールの内容を作成している。
そのため、メールシステムを利用する際の検索条件は、企業名の完全一致・部分一致を指定することができればよい。検索画面の見栄えや、検索条件入力の手間を考えると、検索条件は少なくて良い。

2)第二営業部・・・なるべく多くの検索条件を指定できるようにしたい。

 第二営業部が担当している企業は、300社以上存在するため、企業のペルソナを設定をしたうえで広告メールの作成を行っている。
したがって、メールシステムを利用するにあたっては、設定したペルソナに合致する顧客企業に絞り込むために、なるべく多くの検索条件を入力できる必要がある。

2.2.利害調整による問題解決

 第一営業部と第二営業部の利害を調整するために、私が行った対策は次の通り。

1)キックオフミーティング

 プロジェクト開始時にキックオフミーティングを行ったが、改めてキックオフミーティングを行った。キックオフミーティングでは、プロジェクトの目的である、メール配信業務の効率化と来年度の4月までに本番リリースすることを共有した。

 キックオフミーティングにおいて工夫した点は、営業部門を統括する役員に、プロジェクトの目的を説明してもらったことである。
キックオフミーティングは、プロジェクトの目的を共有する場であるが、役員に説明してもらうことで、プロジェクトメンバー個々人にプロジェクトの重要度と目的を強く認識してもらう狙いがあった。

2)意見交換会の開催

 双方の利害調整のためには、各部門が直接対話する場が必要と考えた。
誰かが間に入った利害調整のみの場合、間に入った人の意見に偏る可能性があり、結果的に双方の納得感を得ることができないと考えたからである。

 具体的には、キックオフミーティング後の2週間の間、毎日1時間、意見交換会の場を設けた。

 意見交換会を行う上で工夫した点は、開催時刻を毎日9時に固定したことである。各部門の営業担当者と日程調整する手間をかけるよりも、直接対話できる機会をなるべく早く、なるべく多くした方が有意義な利害調整につながると考えたからである。
また、両営業部の部門長には、なるべく意見交換会に出席してもらうように要請をした。現場担当者の意見が、そのまま部門の意見とは限らない。要件を拡大させるような意見が出たり、部門内の意見が矛盾している場合は、両部門長に部門の意志を統一してもらった。

(1207文字)

設問ウ

3.利害調整の評価と今後の改善点

3.1.利害調整に対する評価

 下記の理由により、利害調整はおおむね有効に機能したと判断する。

1)予定したプロジェクト期間通りに、プロジェクトを完了できたこと。

 キックオフミーティング・意見交換会のためにかけた2週間は、マネジメント予備としてのスケジュールバッファの1週間分と、すでに決定した要件部分の先行開発によって、プロジェクトの遅延なく完了することができた。

2)プロジェクト予算を超過しなかったこと。

 キックオフミーティング・意見交換会のためにかけた工数は、マネジメント予備としての予算を使用したため、プロジェクトの予算の98%のコストでプロジェクトを完了させることができた。

3)キックオフミーティング、および意見交換会を経て、検索条件に指定するパラメータに対する要求事項をまとめることができたこと。

 当初、メールシステムの検索条件に指定するパラメータに対する要求事項は、第一営業部・第二営業部で異なっていたが、意見交換会の中で要求事項のすり合わせを行うことで、双方がそれぞれ妥協できるパラメータの種類とパラメータ数に設定することができた。

4)第一営業部・第二営業部の納得感が得られたこと。

 プロジェクトのクロージングの際、プロジェクトの参加メンバー全員から任意でアンケートを取ることにした。キックオフミーティングや意見交換会については、要求事項の納得感にどの程度寄与したかを、5段階で回答してもらった。その結果、平均4.2点であった。

 A社では、顧客満足度調査における合格点を4点と設定している。
営業部門の役員からは「今回のアンケート結果は、顧客満足度調査とは単純比較できないものの、プロジェクトメンバーの満足度は、合格点と言える」との評価を得ることができた。

3.2.今後の改善点

 今回、会議参加時の事前調整を行わないようにしたが、数回の意見交換会において、片方の部門の営業担当者しか集まらなかったり、参加者が誰も集まらずに中止した会があった。
その結果、会議の場に出てもらった営業担当者やエンジニアの工数を無駄にした。
また、会議室のキャンセルが遅くなることで、会議室という物理的なリソースの有効利用の面でも課題があった。

 今後同様の会議を開催するにあたっては、以下のような工夫をしたい。

1)参加の意思表示は事前に得る。

2)参加メンバーが集まらない場合には、会議中止を周知し、会議室の予約を取り消す。

(1050文字)

まとめ

自分自身の論文のネタにするためには、サンプル論文はいくらあってもよいと思います。
このブログに記載したサンプル論文が役に立つとうれしいです。

参考図書

自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、回答文章のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。

上記はプロジェクトマネージャ試験の対策本ですが、ITサービスマネージャ試験でも通用する内容です。

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