情報処理技術者試験(PM/SM)に連続で一発合格したおじさんによる プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱの過去問論文事例(平成23年度 問1)

情報処理技術者試験
こんな人におすすめ
  • 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
  • 小論文のネタを探している
  • 合格者のアドバイスを受けたい

プロジェクトマネージャ試験の午後Ⅱの対策として、自分が実際に練習用に作成した小論文を紹介します。小論文のネタ探しや午後Ⅱ対策の参考にしてもらえるとうれしいです。

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問題文および設問

解答例

設問ア

1.プロジェクトの特徴

1.1.プロジェクトの特徴

 私は、情報システム開発およびアウトソーシングを手がける会社に勤務しており、プロジェクトマネージャを8年間経験している。これまでは主に、ISP事業者であるA社の顧客管理システムの開発に関わってきた。

 今回対象とするプロジェクトは、A社の「顧客向けプロモーションメール配信管理システム(以下、Aシステム)」の構築プロジェクトである。このプロジェクトに私は、プロジェクトマネージャとして参加した。

 このプロジェクトのもっとも大きな特徴は今後のA社との取引拡大に繋がる重要なプロジェクトという点である。

 Aシステムの構築にあたっては、A社が独自に開発した開発言語(以下、α)による開発をA社から要求されている。A社は最近、A社のシステム開発の標準言語としてαの適用を推進している。

 当社はαの経験はなく、コスト見積の精度に問題が出ることが予想されたが、今後のA社との取引拡大を見据えてプロジェクトに参加することにした。

1.2.コスト構成および特徴

 今回のプロジェクトにコスト構造は次の通りであり、開発工数がプロジェクトのコストに与える影響が最も大きいのが特徴である。
・開発環境…ゼロ(ハード・ソフトともにA社の既存設備を利用)
・運用環境…ゼロ(同上)
・外部委託…ゼロ(当社社員で対応)
・社員工数…8千万(開発工数)
・その他…10万(交通費など)

(593文字)

設問イ

2.コスト見積・予算作成

2.1.コスト見積方法と精度を高める工夫

プロジェクトのコストに最も大きな影響を与える社員の開発工数は、下記の手続きによって算出することとした。
①ファンクションポイント法による見積り
②類似物件の生産性を元に開発工数を算出
③WBS上の成果物との突合せによる補正

具体的には、以下の通り。

①Aシステムの入出力データや、データベースの項目数などのパラメータから開発規模を試算した。

②今回のプロジェクトと同様、開発規模や工数の算出がしづらかった過去のプロジェクトの工程別の生産性を入手し、ファンクションポイント法によって算出した開発規模と掛け合わせることで、工程別の開発工数を算出した。

③算出した工数をWBS上の成果物に按分した上で、プロジェクトメンバーで、工数の過不足が発生しそうな箇所がないかレビューを行った。

上記の手続きによる工数見積を行った理由は以下の通り。

①今回のプロジェクトは、当社がαでの開発実績がないことから、過去の類似プロジェクトから規模を類推することは困難と判断し、開発規模の見積はファンクションポイント法を採用することにした。

②従来の開発よりも生産性が低下すると考え、当社が過去に担当したプロジェクトの中で、開発言語のスキルが十分でなかったプロジェクトの生産性の平均を、今回のプロジェクトで想定する生産性としてコストを見積もることにした。

③算出した規模と生産性によって得られた開発工数をWBSの成果物に按分することで、プロジェクトメンバー内で具体的な作業ボリュームを共有することができるため、メンバーでレビューを行うことで、工数見積の補正が出来ると考えた。

2.3.予算の作成で特に考慮したこと

予算作成にあたって、詳細設計・製造・単体テストのコストの20%にあたる400万円をプロジェクトの予備費として計上することにした。

今回のプロジェクトは、αでの開発経験者がプロジェクトメンバーにいないことから、詳細設計・製造・単体テストでの不具合が多発するリスクがあると考えた。

(855文字)

設問ウ

3.プロジェクト遂行中のコスト管理


3.1.コスト差異を把握するための仕組み

 社内のWEBサーバにチケット管理システムを導入し、WBSに記載した成果物および実行タスクを1つのチケットとして登録することにした。

チケット管理システムは、チケットごとの見積工数および実績工数、タスクの開始時期、終了時期の予定と実績、作業タスクの実行状態(未着手、完了済み、など)をプロジェクトの全メンバーが登録・参照できる。

コスト差異を把握するために、このシステムを利用するように考えた理由は、コストの消化状況とスケジュールの進捗を把握するEVMででのマネジメントを、ほぼリアルタイムで行うことでき、問題の発見と対処を素早く行うことが可能になるためである。

 製造工程に入って2週間が経過したころ、スケジュール予定通り進捗していたが、コストが徐々に増加し、3週間が経過したころには、メンバー1人当たり1人日超過するまでに至った。

対象のメンバーにヒアリングを行ったところ、「αにまだ慣れていないため、製造に手間取り、残業で対応している。慣れてきているの今までよりも生産性はあげられる」との回答であったため、もう2週間様子を見ることにした。

しかし、コスト超過は改善されず、メンバー1人あたり2日超過するまでに至った。

現在のコスト超過のペースが製造完了時点まで続いた場合のコストを試算したところ、コスト予備の400万円を超過することが明らかになった。

3.2.予算超過を防ぐための対策

 プロジェクトメンバーへのヒアリングの結果、メンバーのαの理解が十分に進まないことがコスト超過の原因であったことから、生産性改善策として、A社からαの開発経験者Bさんを講師として招いた勉強会をすることにした。

勉強会では、αの開発標準の解説だけでなく、プロジェクトメンバーが製造中の不明点を、Bさんに質問する場にすることにした。

勉強会を開催したのは、単にプロジェクトメンバーのスキル向上を目的としただけでなく、今後A社との取引が拡大した場合に現場同士のコミュニケーションを取りやすくする狙いもあった。

3.3.実行結果と反省点

 勉強会でのプロジェクトメンバーのスキル向上と、勉強会実施後の作業において、プロジェクトメンバーからの問い合わせをBさんが快く対応してくれた結果、勉強会以降の大きなコスト超過はなくなった。

結果として、予定したコストを超過したのは、勉強会までの製造コスト、勉強会にプロジェクトメンバーを参加させるためのコスト分のみで合計100万円となり、コスト予備の範囲に収めることができた。

 今回、製造工程に入ってしばらくしてからA社からの支援を要請することになったが、プロジェクトの早い段階で技術支援を得られる体制をとることで、生産性の悪化を未然防止するべきであった点が、今回の反省点と考える。

(1,176文字)

まとめ

自分自身の論文のネタにするためには、サンプル論文はいくらあってもよいと思います。
このブログに記載したサンプル論文が役に立つとうれしいです。

参考図書

自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、回答文章のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。

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