情報処理技術者試験(PM/SM)に連続で一発合格したおじさんによる ITサービスマネージャ試験 午後Ⅱの過去問論文事例(平成23年度問1)

情報処理技術者試験
こんな人におすすめ
  • 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
  • 小論文のネタを探している
  • 合格者のアドバイスを受けたい

ITサービスマネージャ試験の午後Ⅱの対策として、自分が実際に練習用に作成した小論文を紹介します。小論文のネタ探しや午後Ⅱ対策の参考にしてもらえるとうれしいです。

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問題文および設問

解答例

設問ア

1.ITサービス概要と顧客への基本的な報告事項

1.1.ITサービス概要

 私が携わったITサービスは、ISP事業者A社の顧客管理システムが提供する「顧客管理支援サービス」である。

 関東中心に10万人以上の利用者を持つA社では、インターネットにて利用者の登録・更新を24時間365日受け付けている。また郵送でも受け付けており、A社に設置した事務処理センターが平日9時から18時の間に処理を行っている。顧客管理システムでは上記の登録・更新のサービスを提供するほか、課金システムや認証システムなどA社の他システムとの連携を行うサービスを提供している。

 私は、A社のシステム管理部に所属し、顧客管理システムの運用管理チームと顧客管理システム専門のサービスデスクの責任者である。

1.2.顧客への基本的な報告事項

 顧客管理支援サービスにおいて、サービス状況を報告する顧客は、A社の営業部である。営業部へのサービス状況の報告は、毎月報告することにしており、具体的な報告内容は以下の通りである。

(1)サービスレベルの目標と達成状況

 サービスレベル目標として、①各サービスの稼働率、②各サービスの処理件数の90%以上の応答時間2秒以内、③バッチ処理の処理時間10時間以内を設定しており、前月の達成状況を報告している。

(2)インシデントの発生や対策の状況

 インシデント管理台帳のうち、前月報告時にクローズしていなかったインシデントおよび、前月新たに発生したインシデントを抽出して状況報告している。

(637文字)

設問イ

2.報告に含めた事項とその理由および工夫

 前述した報告事項以外で、顧客にとって有益と判断して報告に含めた事項は、次の2点である。

2.1.ITリソースの利用率の推移

 過去のインシデントの状況を確認したところ、ディスク使用率がしきい値を超過するインシデントの発生間隔が、1年前までは1年に一度のペースであったものが、今年に入ってから3ヶ月に一度のペースと短くなっていることが判明した。いずれのインシデントもサービスに影響が出るものではなく、特に対応を行わずにクローズされていたが、将来的にディスク容量が不足によるサービス停止に至る可能性があると判断した。

 暫定対処として、今後のリソース消費の見積の見直しとディスク増設の対応を行ったが、リソース増強などの対応は、事前予防的に行うべきものであり、インシデント発生後に対応するのでは手遅れになる場合もある。

 そこで、今後のリソース増強の計画を立てるために必要な情報として、ITリソースの推移を報告に含めることにした。

 今後のリソース増強の時期を分かりやすくするための工夫として、各リソースの前年同月比および過去1年間の推移をグラフの中に将来予測となるリソースの見込をプロットするようにした。

2.2.インシデントの分析

 ある月の報告会にて、営業部長から「毎月同様の問合せが発生しているように見えるが、根本的な対策がとられているのかわからない」とのコメントをもらった。確かに現状は、個々のインシデントに対する対応しか報告していないため、インシデントそのものを減らす対策が取られているかどうかの報告が必要であると判断した。

 そこで、過去発生したインシデントの分析結果と、主要なインシデントに対する対策の状況を報告内容に含めることにした。

 具体的には、過去1年間に発生したインシデントを原因別に分類し、パレート図を用いて特定した上位80%の原因に対して具体的な対策を実行するようにした。

 対策の効果を分かりやすくするための工夫として、実行中の対策についての状況だけでなく、前回完了した対策によるインシデントの削減状況を報告に含めることにした。

(888文字)

設問ウ

3.今後の改善点

3.1.リソースの増加傾向分析の精度向上

 報告内容にITリソースの利用率の推移を追加したことで、ITリソースのしきい値超過に起因するインシデントは発生していないことから、報告内容の追加は一定の効果が得られたと判断している。

 しかし、現在のITリソースの将来予測は単に線形増加すると仮定したものになっており、精度の向上が課題と考えている。なぜならば、ITリソースの増強タイミングをより適切に行い、ムダな投資を抑えつつインシデントを未然防止するには、将来予測の精度向上が不可欠であるからである。

 ITリソースは、加入する会員数や処理件数に依存するはずなので、将来予測に必要な情報をシステム開発部門から入手することで、精度向上をはかって行きたい。


3.2.解決策に関する事前調整
 報告内容にインシデント削減の対策に関する報告を追加したことで、営業部長からは「状況が以前よりも分かりやすくなった」と評価をもらうことが出来た。また、サービスデスクへの問合せが最も多かった事務処理センター向けの画面の利用に関して、原因分析の結果からシステム開発部門での改善につながったことで、問合せが以前の半分にまで削減することが出来た。

 こうしたことから、報告内容の追加による効果は得られていると判断している。

 ただし、報告書に記載している改善課題に対する議論が報告会の中で行われることで、会議時間が超過することがしばしばあった。本来報告会はコミットメントの場であるため、対策の選択や実現方法については事前に議論しておくべきものである。今後は、報告会では課題提起と決定事項の確認、および実行中の対策、対策実施後の状況報告とするようにし、対策に関する議論は別のタスクフォースを設けることで、会議のスリム化をはかるべきと考える。

(756文字)

まとめ

自分自身の論文のネタにするためには、サンプル論文はいくらあってもよいと思います。
このブログに記載したサンプル論文が役に立つとうれしいです。

参考図書

自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、回答文章のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。

上記はプロジェクトマネージャ試験の対策本ですが、ITサービスマネージャ試験でも通用する内容です。

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