【プロジェクトマネージャ試験】平成24年度 午後Ⅱ 問1 – 情報処理技術者試験(PM/SM)に連続で一発合格したおじさんによる 過去問論文事例

こんな人におすすめ
  • 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
  • 小論文のネタを探している
  • 合格者のアドバイスを受けたい

プロジェクトマネージャ試験の午後Ⅱの小論文を作成してみました。小論文のネタ探しや午後Ⅱ対策の参考にしてもらえるとうれしいです。

問題文および設問

具体的な問題はIPAにてご確認ください。

解答例

設問ア

1.プロジェクトの特徴とシステム化要求の特徴

1.1.プロジェクトの概要

 私が携わったプロジェクトは、大手製造業における生産管理システムの刷新プロジェクトである。
目的は、旧システムの老朽化と業務の多様化に対応し、最新技術を活用した新システムを導入することで、生産計画、在庫管理、品質管理業務の効率化を実現することであった。
特に、経営層からの要求として、リアルタイムな生産データの収集と分析を行う機能の実装が求められており、迅速な経営判断を支援するシステムであることが重要視された。
私はこのプロジェクトにプロジェクトマネージャとして参画した。

1.2.システム化要求の特徴

 本プロジェクトでは、システム化要求が多様化しており、特に関係部門からの要望にバラつきが見られた。
経営層は経営判断の迅速化やデータの可視化を重視し、一方で、現場作業員からは業務の煩雑さを軽減するための操作性の向上が求められていた。
また、各部門からの追加要求も頻繁にあり、最終的には初期要求の20%程度の増加を見込む状況であった。
さらに、要求の精度に差があり、特に生産現場からの要求は「現状を維持したまま使いやすくしてほしい」という抽象的な要望が多く、要件化が困難であった。
これにより、要件の膨張とともに、要件の定義漏れや誤りのリスクも高いプロジェクトとなっていた。

(580文字)

設問イ

2.要件の膨張を防ぐための対応策

2.1.対応策の概要と目的

 要件の膨張を防ぐために、以下の対応策を計画し実施した。
関係部門からの要求を適切に管理し、スコープの逸脱を防ぐことできないと、要件の膨張を防ぐことがえきないと考えたからである。

・要求の優先順位付けと管理プロセスの構築
・要件の確定に関する承認体制の構築
・スコープ管理ツールの導入

2.2.対応策の実施内容と評価

(1)要求の優先順位付けと管理プロセスの構築

 プロジェクトの立ち上げ段階で、各部門からの要求を「必須」「推奨」「望ましい」の3つのカテゴリに分類し、優先度の高い要件から順に進行するプロセスを構築した。
具体的には、ヒアリングを通じて約50件の要求を洗い出し、優先順位に従って要件として確定した。また、追加要求があった場合には、必ず優先度に基づき検討する体制を整えた。
このプロセスにより、要件膨張が抑えられ、無駄なリソース投入を削減することができた。
特に、関係者全員が優先順位を共有することで、要求に対する理解が深まり、要件の増加は当初見込みの10%に留めることができた。

(2)要件の確定に関する承認体制の構築

 要件の確定段階で、主要なステークホルダーの承認を必須とする体制を導入し、要件の正式な確定前には関係者全員の合意を得る手順を設けた。
無闇な要件追加が発生することを防止し、確定した要件を管理しやすくする効果を狙ったものである。
承認体制の導入により、追加要件が発生した場合でも関係者間での協議が徹底され、当初計画との大幅なスコープ逸脱を防止できた。
最終的には、計画段階でのスコープに対して95%の要件達成率を維持することができたため、対応策が有効に機能したと考える。

(3)スコープ管理ツールの導入

 プロジェクト進行とともに要件が膨張するリスクを低減するため、要件を視覚的に管理できるツールを導入した。ツールによって、各要件のステータスや優先度、変更履歴が容易に管理可能となり、各関係者がリアルタイムで要件の状況を確認できるようにする狙いがあった。
このツールの導入により、進行中の要件変更に迅速に対応でき、要件管理の透明性が向上した。
具体的には、会議資料作成時間が約30%削減され、要件定義のレビュー効率が向上したことでプロジェクト全体の管理コストを抑えることができた。
これは、ツール導入による効果と考える。

(1018文字)

設問ウ

3.要件の定義漏れ・定義誤りを防ぐための対応策

3.1.対応策の概要と目的

 要件定義の精度を上げるために、以下の対策を実施した。これにより、要件漏れや誤りを防止し、プロジェクトの手戻りを最小限に抑える効果を狙った。

・過去のプロジェクトからのチェックリストの整備と活用
・プロトタイピングの実施

 特に重要視したのは、プロトタイピングの実施である。
ユーザーインターフェースの操作性など、非機能要件に関わる要求事項はプロジェクトごとに異なること多く、過去のプロジェクトからの情報を期待できないと考えたからである。

3.2.対応策の実施内容と評価

(1)過去のプロジェクトからのチェックリストの整備と活用

 過去の類似プロジェクトで発生した定義漏れや誤りを集約し、チェックリストを作成した。
このチェックリストには、特に見落とされやすい要件項目を盛り込むことを意識し、要件定義の段階で漏れや誤りが発生しないようにした。
チェックリストを利用することで、要件定義時に約15%の追加項目を発見し、未然に対応できた。
レビューの際には、ステークホルダー間での確認作業もスムーズになり、要件定義の品質向上に寄与した。

(2)プロトタイピングの実施

 複雑な業務フローやユーザーインターフェースについては、プロトタイプを作成し、ユーザーが操作イメージを実際に確認できるようにした。
プロトタイプを用いることで、具体的な画面イメージを共有しながら確認を進め、要求の曖昧さを解消する狙いがあった。
プロトタイピングにより、現場から「操作が複雑すぎる」といったフィードバックを得ることができ、要求漏れや誤りを早期に発見できた。
この対策の結果、要件定義後の手戻りが約20%削減され、最終的にプロジェクト全体の納期短縮とコスト削減に繋がった。

(771文字)

まとめ

自分自身の論文のネタにするためには、サンプル論文はいくらあってもよいと思います。
このブログに記載したサンプル論文が役に立つとうれしいです。

参考図書

自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、回答文章のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。

上記はプロジェクトマネージャ試験の対策本ですが、ITサービスマネージャ試験でも通用する内容です。

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