- 午後Ⅱ(小論文)でいつもつまづいている
- 小論文のネタを探している
- 合格者のアドバイスを受けたい
ITサービスマネージャ試験の午後Ⅱの対策として、自分が実際に練習用に作成した小論文を紹介します。小論文のネタ探しや午後Ⅱ対策の参考にしてもらえるとうれしいです。
問題文および設問
解答例
設問ア
1.ITサービス概要とキャパシティに関する問題
1.1.ITサービス概要
私が携わったITサービスは、ISP事業者A社の顧客管理システムの運用管理である。関東を中心に10万人以上の会員を持つA社は、インターネットにて会員の登録・更新を24時間365日受け付けている。また郵送での申込も受け付けており、A社に設置した事務処理センターにて平日9時から18時までの間に処理を行っている。
顧客管理システムでは上記のサービスに加え、課金システムや認証システムなどA社の他システムとの連携サービスも提供している。
私はA社の全てを管理するシステム管理部に所属しており、顧客管理システムの運用管理と会員と事務処理センター向けの顧客システム専門のサービスデスクの管理を担当している。
1.2.キャパシティに関する問題とサービス影響
ある日、事務処理センターから「登録処理の応答時間が急に遅くなった」とサービスデスクに連絡が入った。原因を調査したところ、前日にリリースされた新規バッチ処理によって、CPU使用率が高負荷状態になったことが原因で、事務処理センター全体の応答時間が遅延していたことが判明した。
事務処理センターでは当日到着した申込書は当日中に処理する規定となっているため、応答時間の遅延は事務処理センター要員の残業時間増、つまりコスト増の原因となり、最悪の場合、当日中に処理できない申込書が出ることにより、会員登録の遅延による顧客満足度の低下に繋がる問題であった。
一時的に、事務処理センターへの応援要員と残業によって対処を行うことになったが、至急改善の必要があった。
(680文字)
設問イ
2.問題解決に向けて検討した対応策
2.1.検討した対応策
前述した問題の解決に向けて、さまざまな角度から複数の対応策を検討し、最も効果的と判断できる対応策を実施することにした。チームで議論した対応策の主なものは以下の通り。
(1)リソースの増強
サーバ追加、CPU・メモリ追加によるシステムの性能向上を行う。
(2)システムのチューニング
バッチ処理のリソース消費を抑えるアプリケーションレベルのチューニングを行う。
(3)業務内容の見直し
バッチ処理の稼働時間帯を事務処理センターの業務時間外に変更する。
なお、事務処理センターの増員という人的リソースの追加案も挙がったが、運用コストの大幅増加になるため対応策から除外された。
2.2.決定した対応策とその理由
対応策の決定にあたり、複数の評価観点に基づいて評価を行うことで、最も効果的な対応策を選択することにした。具体的には以下のような評価を行った。
(1)作業難易度
システムのチューニングはアプリケーションの改造を伴うため最も難易度は高い。リソースの増強は定型化された作業であるため、最も難易度は低い。
(2)作業期間
システムのチューニングを行うのは、システム開発部門であるが、システム開発部門は既に別の開発プロジェクトを持っており業務調整を含めた対応期間は最も長いと判断した。リソースの増強については、機器の調達期間が必要になるため、バッチ処理の稼働時間帯変更よりも長期間を要するが、システム改造の期間よりは短いと判断した。
(3)費用
システムのチューニングに関しては、改造規模によってコストはまちまちであるが、バッチ処理の稼働時間帯変更に伴うコストよりは確実に大きな改造になると判断した。機器の購入費がかかるため、リソース増強案は業務内容見直し案よりもコストがかかると判断した。
以上の結果、対応策は「(3)業務内容の見直し」とすることにした。
ただし、「(2)システムのチューニング」については改善の余地がないか、システム開発部門に検討を依頼することにした。
「(1)リソースの増強」については、今後のITリソースの増加見込を検討した上で対応可否を決定することにした。
(911文字)
設問ウ
3.キャパシティ管理方法自体の見直し
3.1.キャパシティ管理方法自体の問題
今回の対応策の実施により、事務処理センターでの増員は一週間に抑えることができた。またその間の処理遅れもなく、対策については一定の評価が出来る。ただし、今回のインシデントを未然に防ぐことが出来なかったことは、キャパシティ管理方法自体に問題があると考え、原因分析を行った結果、次の問題が見つかった。
(1)応答時間遅延が監視作業の中で検出できていない
現状の監視作業では、トランザクションの異常終了を検知することは行っているが、応答時間の遅延に関する監視が行われていないことが判明した。
(2)システム開発部への情報発信の不足
今回問題になったバッチ処理を開発するあたり、事務処理センターで行う処理によるサーバの負荷に関する情報が古く、以前顧客管理システムの大規模改造を行った際に提供した情報をもとに開発が行われていた。
3.2.キャパシティ管理方法自体の見直し内容
(1)監視方法の変更
応答時間遅延が監視作業の中で検出できていない問題については、監視作業で使用している監視ツールのトランザクションの応答時間の監視を追加することにした。
この監視を追加することにより、事務処理センターからの申告前に障害を検知することができ、サービス停止時間の短縮効果も期待できる。
(2)最新のキャパシティ情報の公開
A社の社内ポータルに、前月のキャパシティ情報を公開することにした。具体的には、CPU使用率やディスク使用率の情報を日別・時間帯別に見えるようにし、開発プロジェクトで利用してもらうようにした。最新情報を開発プロジェクトが利用できることで、システムの変更に伴うリソースの増強可否がより明確化できると考える。
(734文字)
まとめ
自分自身の論文のネタにするためには、サンプル論文はいくらあってもよいと思います。
このブログに記載したサンプル論文が役に立つとうれしいです。
参考図書
自分が受験したときに使用した参考図書は、下記の旧版です。
「最速の論述対策」で、回答文章のモジュール化と章立ての基本テクニックを学び、「合格論文の書き方」で自分の経験でモジュール化できなかった部分の補強を行い、過去問で実際に手書きの練習をしました。
上記はプロジェクトマネージャ試験の対策本ですが、ITサービスマネージャ試験でも通用する内容です。
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